Looker Studio(旧Googleデータポータル)を活用することで、Google Analytics (GA4) のデータを基に、曜日ごとのユーザー行動を詳細に可視化し、分析できます。
この記事では、Looker Studioを使った具体的な分析レポートの作成手順から、その分析結果をブログ運営に活かすための実践的な方法までを分かりやすく解説します。
なぜ曜日ごとの分析が重要なのか?
ブログのアクセスは、平日と週末、あるいは特定の曜日によってユーザーの行動パターンが大きく異なる場合があります。
- BtoBブログ: 企業の担当者が閲覧するため、平日の業務時間中にアクセスが集中する傾向があります。
- 趣味やライフスタイルに関するブログ: 通勤時間や週末の余暇時間に見られることが多くなります。
このように、曜日ごとのユーザー行動を理解することで、「いつ、誰に、何を届けるか」というコンテンツ戦略の精度を飛躍的に高めることができます。
Looker Studioを使った曜日別分析レポートの作成手順
GA4の標準レポートでは曜日ごとの詳細な分析が難しいですが、Looker Studioを使えば簡単に実現できます。
Looker StudioとGA4を連携する
- Looker Studioにアクセスし、空のレポートを作成します。
- データの追加画面で「Google Analytics」を選択します。
- 分析したいGA4のアカウントとプロパティを選択し、レポートに追加します。
「曜日」のディメンションを作成する
GA4のデータにはデフォルトで「曜日」のディメンションが含まれていません(※1)。そのため、日付データから新しいフィールドとして「曜日」を作成する必要があります。
※1: 2025/9/3 現在、「曜日」のディメンションはデフォルトで追加されていました。
もし、追加されていないようでしたら下記の手順で作成をしてください。
- レポート編集画面の右側にあるデータソースの「フィールドを追加」をクリックします。
- 「計算フィールド」を選択し、以下の要領で設定します。
- フィールド名:
曜日
- 計算式:
TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A')
もしくは、日本語で表示させたい場合は、CASE文を使います。CASE WHEN CONTAINS_TEXT(TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A'), "Sunday") THEN "日曜日" WHEN CONTAINS_TEXT(TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A'), "Monday") THEN "月曜日" WHEN CONTAINS_TEXT(TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A'), "Tuesday") THEN "火曜日" WHEN CONTAINS_TEXT(TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A'), "Wednesday") THEN "水曜日" WHEN CONTAINS_TEXT(TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A'), "Thursday") THEN "木曜日" WHEN CONTAINS_TEXT(TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A'), "Friday") THEN "金曜日" WHEN CONTAINS_TEXT(TODATE(日付, 'DEFAULT_DASH', '%A'), "Saturday") THEN "土曜日" ELSE "不明" END
- フィールド名:
- 保存して完了です。これで、レポート内で「曜日」をディメンションとして利用できるようになります。
データを可視化する
作成した「曜日」ディメンションを使い、様々な角度からユーザー行動を可視化していきましょう。
曜日ごとの基本指標(セッション数、ユーザー数、PV数)
どの曜日に最もアクセスが集まっているかを把握します。
- グラフの種類: 棒グラフ or 時系列グラフ
- ディメンション:
曜日
- 指標:
セッション
、総ユーザー数
、表示回数

曜日 × 時間帯のヒートマップ
曜日ごとのアクセスのピークタイムを特定します。例えば、「金曜日の21時台にアクセスが急増する」といった具体的な傾向が掴めます。
- グラフの種類: ピボットテーブル(ヒートマップ)
- 行のディメンション:
時間
- 列のディメンション:
曜日
- 指標:
セッション

曜日ごとのエンゲージメント率・コンバージョン率
アクセスが多い曜日と、ユーザーの熱量が高い(エンゲージメント率やコンバージョン率が高い)曜日が必ずしも一致するとは限りません。ユーザーがじっくりコンテンツを読んでくれる曜日や、商品購入などの行動を起こしやすい曜日を特定します。
- グラフの種類: 棒グラフ or 表
- ディメンション:
曜日
- 指標:
エンゲージメント率
、コンバージョン
曜日ごとの人気記事ランキング
平日に読まれやすい記事(仕事術、ノウハウ系など)と、週末に読まれやすい記事(趣味、お出かけ情報など)の傾向を把握します。
- グラフの種類: 表
- ディメンション:
曜日
,ページ タイトルとスクリーン名
- 指標:
表示回数
曜日ごとの流入チャネル
週末はSNSからの流入が増える、平日はオーガニック検索からの流入が多いなど、曜日による流入経路の違いを分析します。
- グラフの種類: 積み上げ棒グラフ or 表
- ディメンション:
曜日
- 内訳ディメンション:
セッションのデフォルト チャネル グループ
- 指標:
セッション
分析からアクションへ繋ぐ「仮説思考」の重要性
さて、ここまでLooker Studioを使って曜日ごとのユーザー行動をデータとして可視化する方法を見てきました。棒グラフやヒートマップを眺めると、これまで気づかなかったブログの「クセ」が見えてきたのではないでしょうか。
しかし、最も重要なのはここからです。データをただ眺めているだけでは、ブログの成長には繋がりません。データ分析で本当に価値があるのは、「なぜ、この曜日のアクセスが多いのだろう?」「このデータから、次は何を試すべきか?」といった問いを立て、次の一手を考えるプロセスにあります。
例えば、「水曜日はコンバージョン率が高い」というデータが出たとしましょう。ここから、あなたならどんな仮説を立てますか?
- 「週の真ん中で、週末の買い物や旅行の計画を立て始めるユーザーが多いのかもしれない」
- 「BtoBブログなら、水曜は定例会議が多く、情報収集のニーズが高まるのかもしれない」
- 「たまたま水曜にバズった記事があり、その影響が残っているだけかもしれない」
このように、データという事実を基に「おそらくこうではないか?」という仮説を立て、それを検証するためのアクション(次の記事テーマやSNS投稿など)を考える。この一連の思考プロセスこそが、データドリブンなブログ運営の心臓部です。
この「答えのない問題に対して、最も確からしい仮説を立てて解決に導く力」を体系的に学びたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊が、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)で長年活躍された内田和成氏の『仮説思考』です。
本書は、手元にある限られた情報からいかに精度の高い仮説を立て、ビジネスの意思決定をスピードアップさせるかを教えてくれます。データ分析の結果を前にして「で、結局何をすればいいんだっけ?」と立ち止まってしまうことが多い方にこそ、具体的なアクションプランを生み出すための強力な武器となるでしょう。
この「仮説思考」を身につけることで、次にご紹介するアクションプランの精度も飛躍的に高まります。
分析結果をブログ運営に活かすアクションプラン
分析で得られたインサイトを、具体的なアクションに繋げましょう。
分析結果の例 | ブログ運営への活用アクション |
金曜日の夜にアクセスが集中する | ・金曜日の夕方〜夜にかけて新しい記事を公開する。 ・週末向けのコンテンツ(まとめ記事など)を金曜日に投稿する。 ・メルマガやSNSでの告知を金曜日のピークタイムに合わせて行う。 |
水曜日はコンバージョン率が高い | ・水曜日に合わせて、アフィリエイト記事や商品レビュー記事を公開・リライトする。 ・CTA(行動喚起)ボタンのデザインや文言を水曜日限定で変更するキャンペーンを試す。 |
週末は「趣味」カテゴリの記事が読まれている | ・週末に「趣味」に関する新しいシリーズ記事を企画・投稿する。 ・過去の「趣味」関連記事を週末にSNSで再告知する。 |
平日はオーガニック検索からの流入が多い | ・平日に読まれやすいビジネス系キーワードのSEO対策を強化する。 ・既存記事のリライトを行い、検索順位の向上を図る。 |
特定の曜日にモバイルからのアクセスが急増する | ・その曜日に合わせて、モバイルでの可読性や表示速度を再チェックする。 ・モバイルユーザー向けに、画像サイズを最適化したり、タップしやすいボタン配置を心掛ける。 |
まとめ
Looker Studioを活用した曜日ごとのユーザー行動分析は、感覚に頼らないデータに基づいたブログ運営を実現するための強力な武器となります。
今回ご紹介した手順と活用法を参考に、ご自身のブログの読者像をより深く理解し、最適なコンテンツを最適なタイミングで届ける戦略を立ててみてください。
定期的にレポートを見直し、仮説検証を繰り返すことで、ブログの成長を着実に加速させることができるでしょう。
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